『反省させると犯罪者になります』(岡本茂樹著)

『反省させると犯罪者になります』(岡本茂樹著)を読みました。著者の岡本さんは、立命館大学の教授であり、刑務所で受刑者の更生支援も行っています。

 

以下、書籍の内容を参考にして書きますが、私が編集したり意訳していますので、著者の意図と異なる箇所もあると思います。カッコ内は、著書よりの引用です。

 

世の中には、悪いことをする人が一杯います。しかし、悪いことをしない善良な市民の方が、圧倒的に多い。ニュースでは、悪いことばかり取り上げていますが、悪いことをしている人は極めて少ないと思います。

 

書籍の中では、著者が体験した受刑者のことだけでなく、教育現場、いじめの問題についても書かれています。著者によると、受刑者は反省していない人が多いようです。

 

「受刑者は、反省よりも、まじめに務めることだけ考えている」

 

「受刑者は、被害者に対して、否定的な感情を持っていることが多い」

 

「被害者に対して『後悔していない』と言い切る人もいる」

 

「犯罪をした少年に、迷惑をかけた人を書かせると、被害者を記した人は少なく、約8割の少年は被害者よりも、父母や友人を上位に挙げている」

 

このようなことを見ても、心の底から反省している犯罪者は、少ないような気がします。もちろん、中には、きちんと更生して、社会復帰している人もいるでしょう。

 

書籍の中では、岡本さんが行っている更生の方法が書かれていますが、これに関しては、いろいろな意見があって、対立する考え方もあるかもしれません。どうやったら、更生できるか、というのは、多くの議論があるに違いありません。

 

著者は、受刑者だけでなく、悪いことをした人に「反省させてはいけない」と言います。

 

「反省させようとしても、根本的なことを直さないと意味がない。上辺だけの反省は意味がない」

 

「容疑者が反省の弁を述べたとしたら、疑わないといけません。多くの場合、自分の罪を軽くしたいという意識が働いているか、ただ上辺だけの表面的な反省の言葉を述べているにすぎません」

 

「私たちが日常行っている『しつけ』や『教育』が、子供や若者たちを犯罪者にしている側面がある。彼らに生き辛さをもたらす大きな要因の一つが、日常的に行われている『反省させること』にあるのです」

 

「反省させるだけだと、なぜ自分が問題を起こしたのかを考えることになりません。言い換えれば、反省は、自分の内面と向き合う機会を奪っているのです」

 

社会のニュースなどを見ても、悪いことをした人は、反省しなければいけない、という風潮があります。不正を働いたりすれば、頭を下げたり、反省文を書いたりして、反省している様を見かけます。

 

著者は、犯罪者など、問題を抱えた人の要因は、親との関係性を指摘します。

 

「彼らを支援するなかで明らかになったことの一つは、問題を抱えた人は、幼少期の頃から親に自分の言い分を聞いてもらえず、言いたいことを言おうものなら、すぐさま親から『甘えるな』『口答えするな』と反省させられ、否定的な感情を心のなかに深く抑圧していることです」

 

人間性を育む上で、親との関係性、親がどのように子育てをするか、というのは、とても重要だと思います。このような環境要因も、人格形成に影響を与えているのでしょう。

 

最後に、書籍の中の一節を紹介します。著者が言うように、自分自身を大切にすることは、とても大切なことだと思います。

 

「人は、自分がされたことを、人に返すものです。優しくされれば、人に優しくすることができます。冷たくされると、人に冷たくしたくなります。そう考えると、人を傷つける人は、自分自身が傷ついていると理解できます。自分自身が傷ついているから、自分自身を大切にできないのです。自分自身を大切にできないと、当然のことながら、他者も大切にできません」