鎖に繋がれた象

東京と田舎を行ったり来たりしている生活をしています。「東京と田舎のどちらが好きか?」と問われたら、「田舎」と答えます。若い頃は、東京の方が好きでした。人の好みは、時間とともに変わるものですね。

 

東京へ帰ると、人が多いのに驚きます。田舎の家にいると、人を見かけることがあまりありません。家の前の道は、温泉の人、電力会社の人、地元の人などが通りますが、誰とも会わない日も珍しくありません。

 

東京のようなゴミゴミしたところで、よくも沢山の人が生活していると思う。それに、東京は物価が異常に高い。田舎にいると、1ヶ月に数万円あれば充分に豊かな生活ができます。しかし、東京へ来ると、1万円札があっという間に、飛んでいきます。

 

もちろん、東京ならではの楽しみもあります。映画や演劇を見たり、美術の展示会へ行ったり。こういうのは、東京のような都会でないと味わえない体験です。普段は田舎に住んで、ときどき東京へ来るのが、ベストな生活スタイルだと思う。

 

東京へ来るたびに、「東京で生活している人は、一体、何をしているんだろう?」と不思議な気持ちになります。東京で働いている人もいますが、そんなにあくせく働かなくてもいいんじゃないか、と思う。

 

私が、ずっと東京にいたら、暇を持て余しそうです。田舎に住んでいた方が、ゆったり豊かな生活が出来るような気がします。東京の人からすれば、「田舎に住んで何をしているの?」と言われるかもしれませんね。(笑)でも、意外と、やることがあるのです。

 

東京で生活している人は、「鎖に繋がれた象」のように思えます。子供の頃、鎖に繋がれていた象は、「逃げられない」と思い込みます。大きく成長して、鎖が繋がれなくなっても、「逃げられない」という気持ちがそのまま残って逃げることができない、という話です。

 

タワーマンションのような億ションには、そのような価値はあるのだろうか。高級ブランドには、そのような価値があるのだろうか。一流大学に入ることは、そのような価値があるのだろうか。一流の会社に入って、高給取りになることは、そのような価値があるのだろうか。

 

このようなものは、すべて「鎖に繋がれた象」と同じような幻想だと思います。一旦、幻想を信じてしまうと、一生、その幻想に取りつかれたままになったりします。そして、その幻想に慣れてしまい、当たり前になってしまいます。

 

東京に住んでいたときに感じていた都会人への視点と、田舎に住んでから感じる都会人への視点は、違います。物事は、近い距離から見るよりも、少し遠いところから見た方が、広い視野で俯瞰できるのかもしれません。