『予想どおりに不合理』(ダン・アリエリー著)

先日、バイキングで食事をいただくと食べ過ぎてしまう、という話を書きました。無料だと思うと、人間の行動形式は、いつもと違ってきます。

 

『予想どおりに不合理』(ダン・アリエリー著)には、無料と人間の行動様式との関係について、いろいろな事例が掲載されています。著者のダン・アリエリーさんは、イスラエル系アメリカ人で、心理学と行動経済学の教授です。著書は、アメリカ(日本でも)ベストセラーになっています。

 

行動経済学に関しての研究では、ノーベル賞を受賞する人も出てきて、研究成果が注目されている分野です。私も、行動経済学という分野は、とても面白いと思う。この著書は、とても興味深く読むことができました。

 

人間は、合理的に行動しているように思いがちですが、そうではないことが多々あります。人間の行動は、自分の思い込み、他人との関係性などによっても、大きく影響を受けているようです。こういう不合理な人間の行動形式は、興味深いものがあります。

 

今回は、この書籍の中から、無料だと人間の行動形式はどのように変わるか、という事例を紹介します。以下は、私が編集したものであり、原文とは異なります。また著者の意図とは異なる箇所もあるかもしれません。

 

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リンツというスイスの高級チョコレートとハーシーという普通のチョコレートの購買について調査してみた。リンツを15セント、ハーシーを1セントにしたとき、リンツを買ったのは73%、ハーシーを買ったのは27%だった。次に、リンツを14セント、ハーシーを無料にした。そうしたら、リンツを買ったのは31%、ハーシーを無料で手に入れた人は69%だった。どちらのチョコレートも1セント値下げをしたので、どちらを買っても、1セント得をすることになる。しかし、人は無料の方に、より引き寄せられる。

 

友人と食事に行ったとき、割り勘で払うことが多い。このとき、幸福度が高くなる方法がある。それは、誰かが全員分支払うことである。これを、順番に行うのが、一番幸福度が上がる。無料で食べられるとき、人間は幸福度が上がる。

 

被験者に、ある課題をしてもらった。1つ目のグループには5ドルの報酬、2つ目のグループには50セントの報酬、3つ目のグループには無料でしてもらった。その結果、1つ目のグループは159、2つ目のグループは101、3つ目のグループは168行った。被験者は、お金のためよりも、お金が絡まない方で、熱心に働いた。

 

「キャラメル1セント」と張り紙をした場合と、「キャラメル無料」という張り紙をした場合を比べてみた。1セントのときは、平均58人が買い、無料のときは、平均207人が持っていった。しかし、1セントのとき、平均3.5個買ったが、無料のときは、平均1.1個しか持っていかなかった。

 

キャラメルと同じような実験をチョコレートでも行った。チョコレートを10セントから5セントに値下げしたら需要が240%増加した。5セントから1セントに値下げしたら、需要が400%増加した。1セントから無料にしたら、需要が50%減少した。

 

無条件で、無料でお金を配る実験を行った。無料で配るお金は、1ドル、5ドル、10ドル、20ドル、50ドルというように、変えて実験をしてみた。1ドルのときは、1%の人が立ち止まって様子を見た。金額が増えるたびに、立ち止まる人が増えた。50ドルのとき、立ち止まってお金を持っていった人は、19%に過ぎなかった。大多数の人は、いたずらだと考えていた。

 

共用の冷蔵庫に、コーラと1ドル札6枚を入れて実験を行った。コーラは、すべて72時間以内に消滅した。しかし、1ドル札は72時間経ってもずっと、そのままだった。

 

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お金や無料ということに関する心理は、とても面白い。このような実験を見ても、私たちは、「お金」という概念に、強く囚われています。お金は、とても大切なものですが、もう少しお金の概念から開放された方がいいように思います。