「虫の知らせ」とは

日常で使う言葉の中には、「虫の知らせ」「虫の居所が悪い」「腹の虫がおさまらない」「癇の虫」「虫が好かない」「虫のいい話」「虫酸が走る」「虫が起きる」「泣き虫」「弱虫」「本の虫」「虫がつく」「虫の息」というように、「虫」という文字が入っているものが多くあります。

 

なぜ、「虫」なんだろう、と不思議に感じます。虫でなくて「星」「風」「鳥」「太陽」というような自然にあるものを文字にしてもいいのに、なぜか「虫」になっています。

 

「虫の知らせ」とは、人間にそなわっている予知能力、第六感などの感覚器官を持たない感知能力のことを言います。「虫の知らせ」という言葉の語源には、いろいろな説があります。

 

一つは、道教に由来するという説です。道教によると、道士の姿をして頭の中、脳にいる「上尸」、獣の姿をして腸内にいる「中尸」、人の足の上に牛の頭が乗っているような姿をして足にいる「下尸」の「三尸(さんし・人間の体内にいる3つの虫)」がいるとされています。

 

60日に一度めぐってくる庚申(こうしん)の日に眠ると、三尸が人間の体から抜け出し、天帝に宿主の罪悪を告げ、その人間の寿命を縮めると言い伝えられました。

 

平安時代には、この話が大変有名で、三尸が体内から出る日は寝ないで過ごしたと言われています。江戸時代に入ると、「庚申待(こうしんまち)」と呼ばれる落語の話が普及し、60日ごとにやってくる庚申の日に、みんなで集まり寝ずに徹夜し夜を楽しく過ごす風習が定着しました。

 

庚申待を3年間(18回)繰り返すと、その記録として「庚申塚」「庚申塔」「庚申天」と刻んだ石碑を建てたそうです。江戸時代には、街道沿いや集落の入口など、いたるところに沢山の庚申塚、庚申塔があったと言われています。今でも、その名残を見ることができます。

 

この体内にすむ「3匹の虫」(三尸)が「虫の知らせ」の由来とする説が一番有力らしい。

 

二つ目は、江戸時代の9匹の虫を由来とする説です。

 

江戸時代には、人の体内に9匹の虫がすみ、その虫が感情や意識をコントロールしていたと考えられていました。この時代の人たちが、目に見えない不思議な現象を虫の仕業にしたことが由来という説です。

 

三つ目は、人間の腸の中にすむ回虫などが由来だとする説です。

 

衛生状態が悪かった時代、人間は、蟯虫やサナダ虫、回虫などを腸に飼っていました。人間の腸に住んでいた回虫などは、宿主の死が近づいてきたことがわかると、宿主から去っていくそうです。昔の人は、お尻から虫が出てくると重病人が息を引き取る寸前であることがわかったそうです。それを、「虫の知らせ」というようになったという説です。

 

日本語の「むし」というのは、鳥獣魚介を除いた生き物のすべてを指していたようです。よくわからないものは、「むし」という言葉で表現していたのかもしれません。

 

私は、虫は宇宙からやってきたと思います。宇宙は広大で、私たち人類が知らない知恵、情報もたくさん持っています。虫は、宇宙的な存在として、私たちにいろいろなことを教えてくれる。それが「虫の知らせ」ではないでしょうか。これが、私の新説です。