意志よりも無意識の方が先?

私たちは、「自分で意志を持って、自分の意志のとおりに生きている」「自分が何らかの行動したのは、自分の意志の結果だ」と思っているかもしれません。

 

しかし、これに異を唱えている人がいます。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のリベット教授は、面白い研究結果を発表しています。この研究結果は、数多くの書籍に引用されていますので、知っている人が多いと思います。

 

例えば、自分の指を曲げるときの話です。普通に考えれば、先に「指を曲げようとする意志」があって、その結果、指が曲がると思うでしょう。

 

しかし、「指を曲げようという意志」が発現するよりも、0.35秒早く、指を曲げるための脳の活動が無意識下で開始されているそうです。私たちの意志よりも、無意識の方が早い、ということです。

 

これが本当だとすると、「指を曲げよう」という意志は、脳の中の無意識が行った活動を、あとになって体験していることになります。

 

私たちの行動は、0.35秒前に無意識によって決定されている。私たちには、自由意志があるように思えて、本当は自由意志がないロボットのようなものかもしれません。

 

リベット教授の研究結果を受けて、前野隆司さんは、「受動意識仮説」を提唱しています。

 

これは、「本当は無意識がやっていることなのに、あたかも自分がやったかのような体験として覚えるために、心があるにすぎないのではないか」「意識は中央集権的に自由意志を作るのではなく、無意識の結果を受け取っているだけである」という仮説です。

 

リベット教授の実験、受動意識仮説に関しては、いろいろな論議があるようです。もし、これが本当だったら、私たちは意志の司令塔ではなく、観察者に過ぎないことになります。人間には、意志がありそうで、本当は意志がないのかもしれません。