『子供の「脳」は肌にある』(山口創著)

『子供の「脳」は肌にある』(山口創著)を読んでみました。著者の山口創さんは、桜美林大学の教授で、皮膚感覚についての書籍を多数書いています。

 

皮膚感覚については、傳田光洋さん、仲谷正史さん、渡邊淳司さんなどの書籍を読んだことがあります。このような書籍を読むたびに、皮膚感覚を大切にしないといけない、もっと重要視すべきだと感じます。

 

『子供の「脳」は肌にある』は、新書であり、皮膚感覚に関する入門書のような書籍です。想像できる範囲の話が多かったですが、改めて皮膚感覚の大切さを感じました。

 

人間は、いろいろな感覚、五感を持っていますが、一番使っているのが視覚です。視覚87%、聴覚7%、触覚3%、嗅覚2%、味覚1%と言われています。

 

著者は、乳幼児期の肌の触れ合い(スキンシップ)の重要性を、各所で書いています。特に、母親と子供の肌の触れ合いは、子供だけでなく母親にも良い効果をもたらすようです。書籍の中では、このような例が書かれています。

 

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スウェーデンの研究では、無作為に母子同室制を行なった母親は、そうしなかった母親と比べて、育児に自信をもち、母親としての適性を実感し、わが子が泣くことに対して強い感受性をもっていることがわかった。

 

タイやフィリピンでは、捨て子の多さが社会的な問題になっているが、出産直後の母親に母子同室制と早期の接触体験を導入すると、捨て子の数が有意に(偶然ではなく)減少するといった効果もみられた。

 

母親とのスキンシップは、前述のとおり、自分が受け入れられ大切にされているのだ、という自信を強め、その温かさから、「人は信頼できるものだ」、ということを肌で学んでいく。

 

母親とのスキンシップは依存を防ぐ。母親とのスキンシップを十分にしてもらえた子どもというのは、甘えの欲求もまた十分に満たされ、受け入れてもらえた安心感から自分に自信をもてるのである。

 

文化人類学者のマーガレット・ミード(1901─1978)は、ニューギニアの二つの部族の子育ての仕方と彼らの性格を比べてみた。一方の部族の母親は赤ん坊を首から下げた小さな網に入れているため、赤ん坊は母親といつも肌を密着させていた。もう一方の部族では、母親は赤ん坊をバスケットに入れて運んでいたため、肌を触れ合うことはほとんどなかった。

 

前述の部族の人々は皆、穏やかで優しく、争い事など起こらなかった。それに比べると後述の部族の人々は、攻撃的で争い事が好きだということが分かった。

 

イヌイット(エスキモー)は赤ん坊が生まれると、すぐに母親の背中におんぶされる。赤ん坊はトナカイの革でできたおむつをしている他は裸で、お腹は母親の背中と直接くっついているのだそうだ。イヌイットの赤ん坊はほとんど泣くことがないのだが、それは母親が皮膚を通して直接背中の赤ん坊の欲求を知るからだという。イヌイットは優しく穏和な民族であることもよく知られている。

 

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このようなスキンシップは、大人でも重要でしょう。大人になると、スキンシップをする機会は減りますが、忘れてはいけない大切なことだと思います。

 

皮膚感覚で面白いなと思ったのは、柔らかい下着と硬い下着を付けたときの違いです。硬い下着を着ると、免疫機能が低下し、ストレスを増大させ、体温調節が正常に働かなくなり、自律神経の活動に悪影響を及ぼし、集中力が低下するそうです。

 

肌着は、着てすぐは、柔らかさや硬さを感じますが、着ていると慣れてしまって、意識することはなくなります。しかし、無意識のうちで、皮膚を通じて脳に影響を与えているらしい。

 

これは、肌着に限らないと思います。着ていて心地が良い洋服と、なんとなく着心地が良くない洋服があります。こういうのも、人間の心や脳に対して、影響を与えているに違いありません。下着も洋服も、柔らかくて、着心地が良いものを選ぶといいでしょう。

 

皮膚感覚は、それほど意識しないものですが、これからは、もっと意識したいと思う。スキンシップもね。