『大麻ヒステリー 〜思考停止になる日本人』

『大麻ヒステリー 〜思考停止になる日本人』(武田邦彦著)を読んでみました。武田邦彦さんは、中部大学の教授でテレビ出演もしています。いろいろ問題発言?過激発言?をして、話題になったりしています。

 

武田邦彦さんの書籍を何冊か読みましたが、武田さんの物の見方は面白いと思います。普通の人とは違った角度から見ていて、参考になります。

 

『大麻ヒステリー』の内容のうち、大麻と麻薬に関する部分をまとめてみました。以下は、私が編集したものであり、前後の文章を略したりしています。武田邦彦さんの真意とは異なる箇所もあると思います。どうぞ、ご了承ください。

 

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日本では、大麻は縄文時代から栽培していた。太平洋戦争が終わるまで、日本は2000年にわたって大麻を普通の作物として利用していた。

 

日本の歴史上、大麻は何も規制されず、禁止もされず、自由に育てられていた。それは、2000年間、日本には大麻を吸う習慣がおそらく一度もなかったからです。

 

20世紀の初めのアメリカに、アメリカ連邦痲薬局長官、ハリー・アンスリンガーが登場します。アンスリンガーは、コカインやアヘンなどの痲薬を取り締まる部署の長官でした。

 

彼はマリファナ(大麻)の追放に乗り出すのですが、その一つのきっかけになったのが、「禁酒法」でした。禁酒法が廃止されたのが1933年。そして大麻規制の法律(正しくは大麻課税法)ができたのが1937年。その間4年です。

 

禁酒法の廃止と同時に別の新しい犯罪が急に増えるということはありません。実際、禁酒法の廃止にともなって捜査員が大量に余るという事態が生じました。

 

禁酒法の廃止から大麻課税法制定までの4年という期間には、そういう意味があったのです。少し表現に問題はありますが、「失業対策のために大麻を悪者にした」という側面がありました。

 

しかし、この大麻を取り締まるための法律ができる前後、大麻は必ずや社会に害を及ぼすということを医学的・科学的に立証したデータは、19世紀のイギリスの委員会のものしかありませんでした。圧倒的に情報が不足していたのです。

 

法律の審議に入ると、アメリカ合衆国の連邦議会は、大麻の痲薬性、習慣性などはほとんど議論せず、とにかく大麻に大きな課税をして実質的に使えなくするという法律(「大麻課税法」)を、「科学の欠席裁判」といわれる状態で可決したのです。

 

大麻課税法は時間の流れとともに社会に定着し、いつの間にか「大麻は痲薬の一種」になったのです。

 

アメリカで1937年に成立した大麻課税法は、その後、約10年で日本に上陸します。

 

アメリカでアンスリンガーが大麻追放のキャンペーンを張った→マリファナが薬物であるかどうかわからないうちに法律ができた→戦争で負けて占領された→日本のアメリカ化政策のもとでGHQが大麻取締法を作らせた、という流れが確認できます。

 

印度大麻は、精神作用を持つカンナビノールの含有量が、大麻草の中でも多く、精神的な影響が考えられます。

 

日本で育つ大麻は、カンナビノールが少ないので、規制の対象にならないどころか、その栽培はむしろ奨励されていました。

 

「大麻(草)」は植物の名前であり、痲薬(化学物質)を指す名前ではないので、自ずから違います。つまり、植物として、印度大麻のように精神作用があるものと、日本に多く自生していた「日本の大麻」のように精神作用がないものがある。

 

大麻が痲薬かどうかという議論は、あまり意味がなく、むしろ混乱を呼ぶ。現代はすでに『植物』と『その中に含まれる化合物』を科学的に分けたり、分析したりできるので、『大麻』が問題なのではなく、精神的作用を持つ化合物『カンナビノール』に注目しなければならない。

 

実は、「カンナビノールは痲薬である」とも、現時点ではハッキリいい切れません。確かに精神的な作用はありますが、それだけでは痲薬にならないからです。 大麻に含まれるカンナビノールが痲薬かどうかという点については、実はまだ議論の余地があるのです。

 

「大麻は危険だ」といっている人たちは、実は「精神的作用のあるカンナビノールを多く含む大麻草はいけない」といっているのですが、カンナビノールを含まないか、ほとんどない大麻が大半であることを知らない場合が多くあります。

 

故・西岡五夫九州大学名誉教授は、世界中の大麻の分析を行って、日本古来の大麻は、カンナビノールがきわめて少ない種だったとしています。ところが、時代とともに外国からカンナビノールが少し含まれた大麻草が持ち込まれ、それとの交雑で若干のカンナビノールを含んだものが生じたと考えられます。

 

現在、さらに品種が改良されて、日本で栽培されている「繊維用大麻」は実質的にカンナビノールを含んでいません。

 

歴史的に見ると、痲薬を禁止するようになったのは20世紀に入ってからで、歴史の長さでいえば、痲薬を禁止している現代の方が「異常」に見えます。それ以前は、中国、インドはもちろんのこと、東南アジアでも南米でも禁止されていませんでした。

 

世界保健機構(WHO)で、1970年に11人の学者が討論した大麻の報告書があります。この報告書は「健康および心理に対するアルコール、インド麻、ニコチン、痲薬摂取の結果の相対的な評価」というレポートで、次のように結論されています。

 

奇形の発生、衝動的な行動、大麻を吸っているうちに吸う量が増えるというような、激しい障害や習慣性はないこと、さらには痲薬につきものの禁断症状などは認められないことが指摘されています。 結論としてWHOの委員会は「大麻は健康上は問題がない」としています。

 

大麻は、精神的依存性、身体的依存性、耐性のいずれもあまり強くなく、他の痲薬や嗜好品と較べて、問題にならないようです。

 

アルコールは強い禁断性や陶酔性を持っているので、「危険な痲薬」ということができます。これに対して、大麻は依存性、禁断性がほとんどなく、嗜好品としては安全なものといえます。

 

2006年にはイギリス下院科学技術委員会のレポートが公表されていますが、ここでも、大麻はお酒やタバコより安全とされています。 科学的で総合的な研究報告で「大麻は危険」というデータがないのです。

 

マリファナ(大麻)は、嗜好品の中では、お酒、タバコ、コーヒーより習慣性、痲薬性が弱い。さらに大麻が痲薬の常習への入り口になることはない。

 

1961年の国際条約(麻薬単一条約)で、マリファナ(大麻)をアヘンやヘロインなど本当の痲薬と同じ取り扱いにしました。ところが、アメリカなど数カ国以外は、少量のマリファナ所持を取り締まっていません。またオランダ、デンマーク、イタリアでは公に使用が認められています。