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『世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論』(永崎裕麻著)

『世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論』(永崎裕麻著)を読んでみました。予想していたような内容でしたが、思っていたより、とても楽しめました。

 

フィジーは、2014年の「世界幸福度調査」で世界一になりました。フィジーの人口は88万人くらいで、平均月収は3万円くらいです。主な産業は、観光とサトウキビの栽培です。観光客の7割は、オーストラリアとニュージーランドから来ています。

 

この書籍には、著者がフィジーで体験したエピソードが書かれていますが、とても愉快で面白い。南国の人たちは、あまり働かず、のんびりして、争うこともしないで生活しているイメージがありますが、そのとおりのようです。

 

著者によると、フィジーの人は、こんなふうに生きているようです。

 

1 モノもお金も子どもでさえも「共有」する。

2 「テキトー」に生き「テキトー」を許す。

3 過去と未来のために生きることをやめて「現在に集中」する。

4 他者との「つながり」に価値をおく。

 

フィジーの人みたいに生きると、楽しそうです。日本人も、カッカしないで、フィジーの人のように生きるといいと思う。

 

以下に、著者が体験したエピソードを紹介します。私が校正していますので、内容と異なる箇所があります。

 

☆☆☆☆☆

 

フィジー人と共同生活をしていると私のTシャツが無断で着られます。車をだれかが買えば近所の人たちで共有します。モノ以外も、お金、子どもですら子だくさんの夫婦が子どもができない夫婦と共有します。分け与えることに喜びを強く感じる人たちなので、借金してまで物乞いに寄付したり、オレオレ詐欺にわざと引っかかったりします。

 

レストランでオーダーしたメニューがそのとおりに出てこなかったり、お会計の金額が間違っていることは序の口。海外では命の次に大切と言われるパスポートですら、名前や誕生日が間違って発行されます。

 

彼らはいつも「今ここ」を生きています。仕事で大きなミスをしても反省せず、ネタにして仲間とともに爆笑しています。ですから、同じミスを繰り返し続けます。しかし、将来に対して不安にもなりません。「なんとかなる」「だれかが助けてくれる」と確信しているからです。貯金もしませんし、健康も気にしません。 口癖は「Don't Worry! Be Happy!」です。

 

フィジーでは、知らない人から呼び止められ、5分くらい雑談すると「今からウチでランチはどう?」と招待されます。裁判所の傍聴席で、隣の見ず知らずの男性が「俺、今、離婚調停中やねん」と相談してきます。

 

バーでビールを飲んでいると、横から急に手が伸びてきて、近くに座っていたフィジー人男性がさりげなく私のビールをとり、自分のグラスに注ぎだしました。これが、3回も繰り返されたことがあります。

 

財布を取りにいき、中を確認してみると10ドル札が1枚減っています。不思議に思い、ホストファザーがそこにいたのですぐに確認してみました。「ああ、あれな。隣の家が何かと物入りみたいやからYumaのサイフからも10ドル渡しといたで。僕とママも10ドルずつ渡しといた(ニコッ)」。「はぁ!? なんで僕の許可なくそんなことするんですかっ!」「ん? 隣の人が困ってるんやから、聞く必要もないと思って……」。 またもや笑顔の回答です。

 

スーパーのレジに並んでいた時のことです。私の前の前で、タンクトップ姿の若いイケメン男性が会計中でした。会計にすごく時間がかかっていたので覗いてみると、どうやらお金が足りないようです。彼は、突然うしろ(私の前)に振り向いたのです。そして、並んでいたおばちゃんを見て「ニカーッ」。白い歯を見せて笑ったのです。すると、おばちゃんは彼の笑顔を受けて即座にこう言いました。 「いくら足りひんの?」。  え? 払ってあげるの!? 私が1人で慌てている中、彼は悪びれることなく答えました。 「2ドル(F$)だけ……」。このおばちゃんは、喜んで払ってあげていました。

 

バス代がないというおばあちゃんに、バス代の往復分1・4F$(84円)を渡すと「今度返すわ」と言って受け取り、バスに乗り込みました。バスから降りたら、おばあちゃんが物乞いの前に立ち止まりました。そしてなんと、小銭を物乞いに手渡したのです。しかも、とてもうれしそうに。私は思わず尋ねました。 「えぇっ!! おばあちゃん、お金持ってたんですか!?」「ん? あんたから借りた帰りのバス代を寄付しただけやで」「はぁ!? あれは帰りのバス代ですよ!」「帰りは歩いて帰ればええやん」「歩いて!? 2時間かかりますよ! 炎天下の中、しかもおばあちゃん体調悪いのに!」「ええねん。私より物乞いのほうが大変やねんから。あんたが私を助けてくれてるみたいに、私も人助けせんとね」

 

あるおばさん曰く、「パン屋の外の道端でインド人の男の子が泣いてたんやって。まあ、どこの家庭にでもある夫婦問題でな。ウチの息子がかわいそうに思ったから、ウチにその子を連れてきてん」「へー。それから?」「その男の子のお母さんとこに行ったんよ。『助けが必要やったらいつでも言うてなー』って。ほんなら『里子として預かってくれたら助かります』って言われたんよ」。その日から家族の一員になったで」里子になるのも即決なんです……。

 

「自分のとこ、5人目やろ。ウチとこ1人もおらへんから、その子が産まれたらちょうだい」。その妊婦さんは「しゃーないなー。ええよ。ちゃんと育ててや」と答えたそうです。 これも即決だったそうです。

 

携帯電話を買いに行きました。「この携帯をください。今日から使えるようにできますか?」「できるで。この登録用紙に必要事項を書いていって」「あっ、もしかして身分証明書って必要ですか?」「必要やで」「しまった。忘れてしまいました……」「ほんなら登録できひんやん」「ですよね……。また明日にでも来ますね」。そうしたら、店員さんが「ん? 私の名前で登録してあげるわ」「え? そんなことができるんですか?」「私は身分証明書を持ってるからな」店員さんの身分証明書を使って、携帯電話を契約してくれました。

 

「パスポートをつくりたいんですけど」「ん? 今は無理やで。パスポートの在庫がないから」「え? パスポートの在庫がない? どういうこと?」「4カ月前にパスポートの在庫が切れてん。5カ月の間、フィジーはパスポートの在庫が切れた状態になっており、約7000人に影響が出たようです。この問題、2011年にだけ発生した問題かと思いきや、調べてみると、06年、07年、12年にも起きていました。

 

携帯の小さなプッシュボタンは、指の太いフィジー人には適さない。すぐにボタンを押し誤って間違い電話をかける。3回に1回はそうなる。それだけならまだしも、間違えた相手としばしばどうでもいい長話をする。ただでさえ嵩んでいる通話料金がさらに嵩み、支払いが出来なくなって通話を止められる。