勝者の呪い

今年のノーベル経済学賞は、行動経済学の第一人者であるリチャード・セイラーさんが受賞しました。行動経済学は、人間の行動と経済原理をつなぐ学問で、人間が必ずしも合理的に行動するわけではないことに着目しています。

 

行動経済学の中で面白いと思うものに、「勝者の呪い」という話があります。これで、よく例えられるのは、オークションです。

 

私も、オークションに入札することがあります。値段がどんどん釣り上がっていって予定していたよりも高く落札したり、安い値段で入札して落札できなかったり、ということが、しばしば起こります。

 

1万円で落札しようと思っていたのに、みるみる値段が上がっていき、2万円で落札した、ということもあります。こういうとき、本当は1万円で落札したかったのに、2万円になるとは、嬉しいような嬉しくないような複雑な気分になります。

 

このように、オークションで最後まで落札にこだわって、予定した金額以上の高値で落札することを「勝者の呪い」と言います。オークションには勝ったものの、本来感じていた価値以上のお金を支払うような状況のことです。

 

逆に、最初に提示した金額を、相手があっさり了承した場合も、「勝者の呪い」と言います。例えば、メルカリで1万円の商品が販売されていました。そこで、「9千円ではどうですか」と価格交渉をしたら、あっさり了承されました。この時、「8千円ではどうですか」と聞けば良かった、と思うのが「勝者の呪い」です。

 

マックス・ベイザーマンは、ガラス瓶の中に硬貨を入れ、その金額を推定させ、その後オークションを行いました。この結果、実際の硬貨は8ドルでしたが、推定値は5.13ドル、平均落札価格は10.01ドルでした。落札価格は、推定値のほぼ2倍でした。

 

このようになる原因としては、「落札することにこだわる」「情報が不足している時は楽観的な評価をしがちである」ということが指摘されています。

 

オークションに入札する時には、最初に、この金額までだったら入札する。その金額を超えたら諦める。というのが、一番の理想です。こういうことを知っているのですが、いざ競ってしまうと、入札の価格を上げていってしまうのである。(笑)人間の心理って面白いですね。