注文をまちがえる料理店

9月16日から3日間限定で、『注文をまちがえる料理店』が開かれました。ここで働くウェイターは、すべて認知症の人です。

 

この企画は、テレビ局でディレクターをしている小国士朗さんがグループホームで体験した、ある食事がきっかけになっています。その日、認知症の入所者にハンバーグを作ってもらう予定だったのですが、食卓に並んだのは餃子でした。「あれ、今日はハンバーグでしたよね?」。そう言いかけた小国さんの脳裏に、こんな思いがよぎったそうです。

 

 ーハンバーグが餃子になったって、別にいいんじゃないか?

 誰も困らないんじゃないか?

 おいしければなんだっていいんじゃないか?ー

 

小国さんは、料理を作ったおじいちゃんおばあちゃんたちが築いている「当たり前」の暮らしが台無しになる気がしました。その時、「こうじゃなきゃいけない」という固定観念にとらわれていた自分に気が付き、『注文をまちがえる料理店』というコンセプトが浮かんだそうです。

 

今回の企画でも、実際に注文を間違えたり、ウェイターがお客さんの椅子に座ってしまう、ウェイターさんと話が全然噛み合わなかったりなど、いろいろなハプニングが起きたそうです。プレオープンの時には、3人に2人は間違いをしました。

 

『注文をまちがえる料理店』は、クラウドファンディングでお金を集めたことによって実現できた企画です。目標800万円に対して、1291万円集まりました。今は、面白いアイデアがあれば、クラウドファンディングでお金を集めることができます。

 

もし、レストランへ行って、ウェイターが注文を間違えたら、どうしますか?中には、強い口調で怒ったり、クレームをつける人もいると思います。

 

それでは、ウェイターが認知症だったら、どうでしょうか?おそらく、ほとんどの人は、認知症の人が注文を間違えたら、怒ったり、クレームなどを言わないと思います。(認知症の人がウェイターをしているレストランには行かない、という人もいると思いますが。)

 

よく考えてみたら、健常な人と認知症の人も同じ人間です。それなのに、健常な人が間違いをすると怒ったりするのに、認知症の人には許してしまう。

 

こういうように、人によって態度を変える人は、狭量のように思います。寛容、寛大な人は、健常な人が間違いをしても、怒ったり、クレームを言ったりしないはず。

 

料理を間違えることなんて、大した話ではありません。自分の注文した料理と違う料理が運ばれてきたら、それを受け入れて、それをいただけばいい。

 

『注文をまちがえる料理店』で、実際に料理をいただいた人の9割は、「また来たい」と答えたそうです。人は、ほかの人を許せることに心地よさを感じる生き物なのかもしれません。

 

いかに、ほかの人を許せるか。許せる度合いが大きい人ほど、寛容、寛大な人と言えそうです。